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「blue moon」
                                                            紫音 様

「フランソワーズ!!」
「・・・っ、ジョー・・・!! どうして・・・!!」
 ――暗黒の闇に煌く、蒼白い満月。
 その冷たい光の下――ジョーとフランソワーズは互いの姿を切なげな瞳の中へ焼き付けながら、向かい合うようにして立ち尽くしていた。
 『此処』へたどり着くまでに負った多くの傷に身体中が軋むような感覚を懸命に堪えて・・・ジョーが、唇を噛み締め何度も首を横に振るフランソワーズへ微かな微笑みを向ける。
 彼ら2人の間を隔てているのは、約5メートル弱の闇の空間。
 あと少し――あとほんの少し脚を前に踏み出せば、やっとのことで巡り逢えた彼女をこの腕の中に取り戻すことができるのに。
 固く握り締めたジョーの拳は、知らず小刻みに震えていた。
「フランソワーズを・・・フランソワーズを返せ!!」
 キッと正面を見据えた真っ直ぐな茶色の視線が、フランソワーズのすぐ隣――漆黒の長い髪を持つ長身の男を射抜く。
 彼が俯いているからなのか、それとも闇の衣が彼の周りを護るように揺らめいているからなのか・・・。
 ジョーは、不気味に紅く光る鎖のようなものでフランソワーズの自由を奪っているその男の顔を見ることはできなかった。
「ダメっ、ジョー!! こっちへ来ないで!!」
 ・・・それ以上近づいたら、殺されてしまう――。
 蒼い瞳いっぱいに涙を浮かべたフランソワーズがそう・・・悲痛な叫び声を上げると同時に。
 男が無言のままスッと翳した右手から無数の黒き刃が生まれ、それらは次々と・・・一斉にジョーを目掛けて襲いかかった。
「くっ!!」
 激痛の走る身体を無理矢理に動かし、決死の覚悟で男へ最後の戦いを挑むジョー。
 今のジョーには、『フランソワーズのためにこの男を倒す』ことしか――頭になかった。
 世界の命運よりも、ただひたすら純粋に・・・愛しい女性(ひと)を守りたい。
 ・・・それだけだった。
 しかし――。

 ・・・どれくらいの間、死闘が続いただろう。
 『強大な魔力』を武器とする謎に包まれた敵が相手な上、しかも満足に戦うことのできないジョーは、次第に窮地へと追い込まれていった。
 戦闘服はボロボロになり、左腕はもう上がらない。
 激しい痛みに一瞬ジョーの意識が朦朧とした――その隙を突いて。
 すかさず腰に携えていた銀の剣を、男が止めとばかりに振りかざした・・・そのときだった。

「危ない! ジョーっ!!」

 ・・・いったい何が起きたのかわからなかった。
 ふと気がつくと――フランソワーズはジョーの腕の中にいた。
 自分へともたれかかった彼女の肩越し・・・背中側に見える手首やウエストのあたりには、まだ紅い光の誡めがいくつも纏わりついている。
 が、その光とは別にフランソワーズの背中に滲む紅い『何か』を見止めた瞬間・・・ジョーは初めてハッと我に返り、そして叫んだ。
「フランソワーズ!!」
 叫びながら彼女の身体を抱き起こしたときに触れた、ぬるりとした生暖かな感触。
 ジョーの全身を冷たい戦慄が駆け抜けてゆく。
「フ・・・ラン・・・ソワーズ?」
 もう一度、小さな途切れ途切れの声で・・・彼女の名前を呼んでみる。
 けれど、彼女は何も応えない。
「フランソワーズ・・・フランソワーズ!!」
 目の前の現実を振り払うかのように何度も何度も繰り返されるジョーの声は、虚しく闇に吸い込まれるように消えていくだけだった。
(ウ・・ソだ・・・)
 ――フランソワーズを、もう一度この腕で抱きしめたい。
 肉体的にも精神的にも限界を越えていたはずのジョーを支えてきた、唯一の想い。
 それが、それが、こんな形で実現するなんて・・・!!



「うわあああぁぁっ!!」
「ジョー!?」
 ――ジョーが弾かれたように瞳を開けると・・・すぐそばには、心配そうに自分を覗き込むフランソワーズの姿があった。
 見慣れた風景・・・見慣れた部屋。
 乱れた呼吸を整えながら、ジョーは自分が薄暗い自分の部屋のベッドの上に静かに横たわっていることに気がついた。
「ゆ・・・夢・・・?」
 額や頬にはたくさんの冷や汗をかき、心臓が早鐘のように鳴り響いているのがよくわかる。
 今夜は2人きりの研究所――フランソワーズが『入浴してくる』と言ってリビングを出た後、1人部屋に戻って少しだけ横になったジョーは、何時の間にかそのまま眠りに落ちてしまっていたらしい。
「だ・・・大丈夫、ジョー? 何だか酷くうなされていたみたいだけど・・・」
 ジョーを探して廊下を通りかかったら、突然あなたの叫び声が聴こえてきたから・・・ビックリしたわ――と、自分の頬にかかった幾筋かの髪をかき上げたフランソワーズが、躊躇いを含んだ表情で小さく微笑んだ。
 窓の外には、夢の中と同じ蒼白い満月が浮かんでいる。
 水に濡れた亜麻色の髪が、その月明かりに映えて黄金色に透けていた。
「フランソワーズ・・・」
 ジョーはゆっくりと横たえていた身体を起こすと、ベッドの傍らに座るフランソワーズの頬へ愛おしそうに右手を伸ばした。
 そう、まるで――彼女のぬくもりをその手で確かめるかのように。
「え・・・っ?」
 一瞬・・・自分を見つめるジョーのなぜか熱い眼差しに、フランソワーズがドキッと心を震わせる。
「ジョ・・・ー・・・?」
「――夢を・・・見たんだ・・・」
「夢・・・?」
 ――次の瞬間。
「きゃ・・・!!」
 フランソワーズはふいに自分の身体がフワリと宙に浮くのを感じたかと思うと、あっという間にジョーによってベッドの上へと押し倒されていた。
「あ・・・!?」
 押し上げられた両方の手首をジョーの両手に掴まれたまま・・・フランソワーズが戸惑いの表情でジョーを見つめる。
 跳ね返りそうになるほど、昂ぶった鼓動。
 部屋を照らすただひとつの――窓辺から差込む月の光が、やけに明るい。
 ジョーは何も言わずにフランソワーズの揺れる視線をじっと受け止め・・・そしておもむろに唇を重ねた。
「んっ・・・」
 いつもよりも激しく・・・そして熱い口づけ。
 こんなにも貪るようにキスを求めてくるジョーを感じるのは、フランソワーズにとって初めてのことだった。
「・・・はぁっ・・ジ、ジョー・・・どうし・・・んんっ」
 ふと唇が離れた瞬間に何か言葉を紡ごうとしても、すぐにまた塞がれてしまう。
 頬に、耳に、首筋に・・・。
 呼吸さえも思うようにできないキスの雨を――ジョーはしばらくの間フランソワーズに降らせ続けていた。

「・・・フランソワーズ・・・・・・」
 やがて――バスローブと下着を纏っただけ彼女の身体は、ジョーの指や唇で徐々に生まれたままの姿にされてゆく。
「! ま・・・待って、ジョー!! ・・・あっ」
 ジョーの唇がはだけかけた下着の上からフランソワーズの胸の突起を探し当てた瞬間、彼女の白い肌がピクンと跳ねた。
 滑らかな素肌をなぞるようにして背中に回り込んだジョーの手が、いとも簡単にホックをはずしてしまう。
 そしてその彼の手は、緩められた隙間からするりと滑り込み、フランソワーズの胸をゆっくりと包んだ。
「んぅ・・・んんっ!」
 柔らかなふくらみと次第に固くなってゆく尖った先端を、直接熱い舌先と手とで交互に責められ、フランソワーズは思わず零れそうになる声を必死に手の甲で押さえている。
 そんな彼女の右手を、ジョーはそっと力を込めてシーツの上へと導いた。
「あ・・・っ」
「・・・大丈夫。今夜は誰もいないから・・・。フランソワーズの声、もっと聴かせて・・・」
「そっ、そんな・・・っ、・・・あぅ!」
 フランソワーズからの答えを待つ間もなく、ジョーが再び小さく色づく突先を口に含んで吸う。
(っあ・・・!! ど・・・どう・・して・・・?)
 いつもなら、まるでガラス細工に触れるかのように優しく包み込むような愛し方しかしないジョーが、こんなにまで激しく自分を求める理由――。
 ・・・その原因が、先程ジョーが見ていたと言う『夢』にあることは間違いないと、フランソワーズは溶けてゆく意識の中で朦朧と思い浮かべていたのだが。
(や・・・あ・・・。わ、私・・・)
 めくるめく快楽の波によってそこから先を深く考えることを許されない彼女の意識は、普段の彼とは違う――優しさの中にも強引さが混じるその愛撫に、いつも以上に敏感に感じてしまうことへの動揺と躊躇いを隠し切れなかった。
(私の・・・身体・・・何か・・ヘン・・・!!)
「今夜は乱れさせてあげる・・・」
「えっ!?」
 僅かに抵抗を見せる身体を下へと辿って、ジョーの指先が聖域へと近づいてゆく。
 フランソワーズの肌と、身体を包む最後の1枚の間・・・ジョーはすでに熱く溢れているそこへ指を潜り込ませて、わざと音を立てるように動かした。
「!! いやっ・・・ジョー、ダメぇ・・っ!!」
「フランソワーズ、溢れてる・・・」
 紅く染まった耳元に吐息混じりの声で囁かれ、フランソワーズはますますビクッと身体を震わせる。
 指に絡みつく熱い感触に身体が暴走してしまいそうになるのをなんとか押し留めて、ジョーは白い肌のあちこちに紅い刻印をつけた。
 彼がきつく吸いあげるたびに、フランソワーズが切なげな声を漏らす。
「ああっ・・や・・・ぅ・・あ・・・んっ」
「フランソワーズ・・・脚・・・開いて・・・」
 つと指をさらに奥まで忍ばせるジョーの唇から洩れた言葉は、今までフランソワーズが聴いたことのない――積極的なセリフ。
「い、いやぁ・・・だ・・ダメ・・・できない・・・っ」
「・・・怖くないから・・・」
 最後まで堅く閉ざされているフランソワーズの脚から下着を片方だけ抜き取って、ゆっくり、けれど逆らえない力でジョーがその膝を押し開いてゆく。
「あ・・いや・・・っ」
 彼はそのまま露になった美しいピンク色の秘所へ顔を埋め――滴る愛液を舐め取るようにそっと舌を這わせた。
「ひあっ!! んぅ・・・や・・そ、そんな・・・こと・・・っ」
 唇や舌の動きに合わせてフランソワーズの桜色に染まった裸身がビクンッと反応し、鋭い快感に貫かれるたびに彼女はその白い喉を仰け反らせる。
「・・・感じてくれてるんだね・・・」
 ジョーはなおも秘裂の奥へと舌先を差し入れ、フランソワーズの最も敏感な部分を責め立てる。
 反射的に震える身体にはもう力が入らないのか、羞恥心からジョーを押しのけようとしていた彼女の腕や脚は、逆に縋りつくように彼へと委ねられていた。
「ジョー・・・! いや・・ぁ・・・んんっ・・・も、もう・・・私・・・恥ず・・かしくて・・・どうにかなっちゃいそう・・・っ!!」
「フランソワーズ・・・!!」
 そんな恍惚の世界に捕らわれ、喘ぐフランソワーズの表情が――ジョーをどうしようもないほどの欲望へと駆り立ててゆく。
 ふいに膝に手をかけられ、左右に大きく押し開かされ・・・そこにジョーの身体が入り込んだ。
 押し当てられる感覚に思わずフランソワーズが息を呑むと、やがてゆっくりとジョーが身体を沈めてきた。
「フランソワーズ・・・力・・抜いて・・・」
「あ・・あぁ・・・っ!!」
 ――2人の身体が、1つに溶け合う。

                           

 入り込んだその側からきつく絡みつかれて、ジョーは上がる息を抑えながらフランソワーズの細い腰に手を回した。
 何度も激しく身体を揺すぶられ、身体の奥を掻き回される。
「んぁ・・・っ、だっ、ダメ・・・そんな・・・壊れちゃう・・・ぅ」
 両手で背中にしがみつき、陶酔にすすり泣くフランソワーズの悩ましげな表情(かお)に、ジョーも深い深い快楽の淵へと落ちていった。
 ――熱い。
 身体が、心が、どこもかしこも熱くてたまらない。
「フランソワーズ・・・っ!!」
「ジョー・・・ジョー・・・ああっ・・・」
 溶解してゆく意識。
 ――そして。


 ・・・蒼い満月が輝くその夜、ジョーはそれから何度も――時間の許す限り、フランソワーズを愛し続けた。
 悪夢の中の自分のように、決して彼女を離してしまわないよう・・・彼女のぬくもりを腕の中に閉じ込めておくために・・・。